近年は製品のライフサイクルが短くなり、頻繁に生産する品目が変わることも珍しくありません。生産する製品変更に伴うレイアウトの最適化は、コストを抑えた効率的な生産を行う上で非常に重要です。そんな最適な生産ラインに無くてはならないものは装置を支える架台です。今回は、装置の架台について製作のポイントをご紹介させていただきます。
▼ 目次 ▼
装置の架台とは
装置の架台製作のポイント
溶接
板厚
強度
装置の架台と材質の関係性
ステンレス
スチール
アルミニウム
装置の架台に関する製品事例
装置の架台のことなら、石村工業まで!
架台とは柱や梁を組み合わせた構造体の事で、様々な機器の設置に対して、機器を支えるために使用される製品です。架台が支えるものは数多くありますが、工場等の装置を支える際に使用されるものが「装置の架台」となります。架台は支える機器や、設置場所によって求められる特性が大きく変わりますが、装置の架台においては「高い剛性」が非常に重要となります。向上に設置される装置のサイズや重量は様々ですが、装置によっては数tクラスの重量を支える必要がございます。また、材料や部品を精密に加工する装置の特性上、架台の剛性が高くないと加工精度にズレが生じてしまうため、装置の稼働に影響が出ない、高い剛性が必要となります。
【架台が支えるモノ】
・装置
・産業機械
・空調機
・キュービクル
・分電盤
・配電盤
・サーバー など
先ほど、装置の架台の重要な要素として「高い剛性」を挙げさせていただきました。この高い剛性を実現するためには、様々なポイントがございます。こちらでは装置の架台製作のポイントについてご説明させていただきます。
装置の架台を製作するポイントの1つ目は部材同士を接合する「溶接」についてです。接着剤のような役割を果たす溶剤を熱で溶かして、部品と部品と接合する溶接工程ですが、工数とコストの観点から、点付け溶接とよばれる間隔を開けて溶接が一般的です。しかし、高い剛性を求められる装置の架台においては、溶接の強度が優先されるため、全周溶接と呼ばれる溶接箇所の接合部を全て溶接する工法で対応することが多くあります。
全周溶接は溶剤を多く使うためコストアップに繋がるだけではなく、製品の歪みも生じやすい工法であるため、高い技術力が必要となります。そのため装置の架台といった「剛性」と「精度」が必要とされる製品を製作するためには、高い技術力のみならず、お客様の用途や条件に最適な材質等を選定する必要があるため、非常に難易度の高い構造物となります。
【溶接の種類】
・点付け溶接
部材同士を点でつないで接合する溶接方法。間隔をあけて溶接するため、溶接による熱の影響が少なく、変形を抑えて溶接歪が小さくなる。使用する溶剤が比較的少ないため、コストが安い点も特徴。
・全周溶接
部材の接合部全てを溶接で接合する溶接方法。隙間なく溶接を行うので、溶接部の隙間からゴミや水分などの異物が混入するリスクがない。溶接部が長いため溶接による熱の影響が大きく、変形による溶接歪が生じやすい。使用する溶剤が多いため、コストが掛かってしまう点も特徴。
装置の架台を製作するポイントの2つ目は使用する部材の「板厚」についてです。一般的に強度がそこまで要求されない架台に関しては「t:6mm」の板材が使用される場合が多くございますが、装置等の剛性が必要な架台を製作する際は「t:18mm」や「t:22mm」などの厚板が使用される場合がほとんどです。
製缶・板金加工において板厚が厚くなると、加工の難易度が大幅に上がってしまいます。
【厚板加工の難しさ】
・曲げ加工
曲げ加工を行った際に割れが生じやすい。
・切断
部材が厚いため、最適な切断条件で加工を行わなければ精度の高い切断が難しい。
・仕上げ処理
板厚と溶接ビートの厚さは比例するため、グラインダー等で仕上げ処理を行う際に多くの工数がかかる。
装置等の重量物の架台を製作する際は、剛性を挙げるために、様々な方法で強度を向上させる必要がございます。具体的には、架台の枠組みとなるフレームの本数を増やすなどの方法です。フレームの本数が増えると、その分溶接箇所が増えて工数が掛かってしまうため、お客様の要求仕様や設置場所に対して、最適な設計をすることが重要です。装置の架台としての剛性を維持しながらも、お客様のご要求コストをクリアするためには、豊富な製作実績により培われたノウハウや、経験が必要となります。
装置の架台を製作する3つ目のポイントは「材質」についてです。ここまでにご説明させていただきました通り、装置の架台には剛性と精度が求められるため、お客様に合わせた最適な設計を行うことが重要となります。材質に関しても各素材によって特性が大きく違うため、用途に応じて選定を行う必要がございます。
・高い耐久性
・強度は高いが重量が重い
・他の素材に比べて値段が高くコスト増に繋がる
・強度は高いが重量が重い
・他の素材に比べて値段が安くコスト低減に繋がる
・耐環境性が悪く塗装等を行わなければ錆が生じやすい
・他の素材に比べて強度がやや弱い
・他の素材に比べて重量が軽いため施工がしやすい
・表面処理を実施すると錆が生じにくく塩害地域に強い
続いて、実際に当社が製作した架台の製品事例をご紹介いたします。
本事例は、産業機械向けのウィンチ取付架台となります。従来は当社と付き合いのある資材屋様から依頼を頂いた案件でした。当社が特注架台の製作実績が豊富であるということもお聞きいただき、お声かけを頂くことが出来ました。先方から製品のポンチ図を提出いただいたのち、当社で追加のヒアリング、図面製作を実施しました。先方のポンチ絵では、上部に鉄板を取り付けるだけの構想でしたが、ウィンチを取り付けて動作をさせると大きな負荷がかかるため、強度の増加が必要と判断し、裏面にアングルを溶接し強度を上げるご提案を実施させていただきました。簡単な架台の製作であっても、先方の要望をお聞きすることで、付加価値を出すご提案が可能です。本事例であれば上部の作業者様が触れる部分をサンダーで処理を行い、リスク対策も実施しております。本事例のように小型の特注架台であっても、豊富な実績により培われたノウハウからお客様への付加価値提案を実施させていただきます。特注架台の製造先でお困りごとをお抱えのお客様がおられましたら、ぜひ当社にお声かけください。
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大型機械用の特注架台の事例となります。工場で使用される大型の設備用の架台であるため、非常にサイズが大きく、強度が求められる点がポイントとなりました。結果、幅:2,000X高さ:2,000X長さ:3,000という非常に大きな架台の製作となりました。このように大きな架台を設計・製作する際は溶接を行う際に歪みや曲がりが発生しやすく、寸法誤差を抑えた製作が非常に難しくなります。当社であれば大型構造体の製作実績が豊富にございますので、大型機械用の特注架台も精度よく製作することが可能です。掲載している写真は塗装前の写真ですが、完成品にはお客様の用途に適した塗装を社内で実施させていただきました。大型機械・大型設備用の特注架台でお大型構造物で複雑な加工や非常に高い精度が求めあれる製品でお困りでしたら、ぜひ当社にお声かけください。困りごとをお抱えのお客様がおられましたら、ぜひ当社にお声かけください。
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大型構造体・機械装置の豊富な製作実績を持つ当社であれば、お客様に最適な装置の架台の設計・製作が可能です。剛性と精度をバランスよく両立させる必要がある、様々なポイントを加味しなければならない装置の架台は、製作会社によって仕上がりやコストに大きな差が生じます。他社で製作された装置の架台にお困り事や不満をお抱えのお客様がおられましたら、一度当社にご相談ください。